名脇役
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形、色、表面仕上げの組み合わせによって、幾通りにも増えていく福田さんの漆器の品番。現在400番代後半に突入しています。
今回出品された中でありました、No.1の作品が。それがこのぐい呑。
記念すべき独立1番目の作品がぐい呑とは、福田さん、さぞかし呑んべぇさんかと思い、お尋ねしたところ、そういうわけではなく、最初にお作りになったいくつかの作品群の中で、一番小さいものから順に番号をつけていったらそうなっただけとのこと。
お酒は大好きだそうですが、酒量はほどほどに楽しんでおられるご様子で、最近はもっぱらビールと焼酎がお気に入りのようであります。
ご報告が遅れましたが、福田さん、先週の土曜日には風邪がまだ完全に治らない体に鞭打って、はるばる輪島から奈良へお出でくださいました。夜中3時出発の10時着、本当にお疲れ様でした。
当日会われた方々は、作品同様、優しく大らかな福田さんのお人柄を感じてくださったことと思います。
夜はそのままここにお泊まりいただいて、私たち家族はそんな素敵な福田さんと一日楽しく過ごせて、ますますそのお人柄と作品を惚れ直した次第であります。
福田さん、先日は本当にありがとうございました。
この場を借りて心よりお礼申し上げます。
福田さんは私たちにとってのNo.1であります。
●福田敏雄/ぐい呑 2.6寸 朱 \7,000
※他に黒溜塗のものもあります。お酒以外には珍味入れなどとしても。
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芸術新潮12月号は漆器の特集が組まれています。
ほんものの漆器の普及に尽力されている高森寛子さんがすすめる漆器として福田さんの飯椀とコップが取り上げられている。
何気ない表情の福田さんの飯椀は最もよく手が伸びる飯椀とのこと。
コップは旅のお供にバッグに入れて持ち運び、ペットボトルのお茶を入れて飲んだりされるそうで、普段から実に粋に漆器を使っておられるご様子。ふむふむ、さすがは高森さん、漆器使いの達人でいらっしゃる。
赤木明登氏との対談や、漆器使いのヒントなど、内容も充実。
福田さんや赤木さんの椀木地作りを引き受けておられる高田晴之さんも紹介されています。
漆器に興味のある方はもちろん、漆器はまだちょっと、という方も、ぜひ一度書店で手にとってご覧下さい。
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雨降りの日曜日、しばし店を抜け出し、室生で開催中の森岡成好さんと彼に師事した若手作家さんたちの展覧会を見に行きました。店を放ってまで(一応家族のものに店番は頼んでおきましたが)出かけていった訳は、長い間ご無沙汰してしまっている市川孝さんの作品をぜひ拝見したいと思ったからです。
広い会場の一角にまとめて並んでいる焼〆や白瓷の彼の作品は、他の作家さんたちの力強い焼〆作品の数々の中にあっては、一見頼りなく感じられるかもしれないが、それこそが彼の持ち味で、力の抜けた柔らかくやさしい轆轤挽きと、薪窯焼成作品としてはあっさりし過ぎるぐらいにサラッとしてふっくらした焼き上がりは、洗いざらしの木綿のような心地よさを湛えています。彼のいう“手のしぐさ”と炎の仕業が僅かに残るだけのこのあっさりさ加減こそが人気の所以でありましょう。
上の画像はおそらく5年程前の作になる湯呑(左)と今日いただいてきた湯呑(右)。撮影条件が悪かったので“しぐさ”までは分かり辛いですが、作風の違いは一目瞭然。
下の画像はお気に入りの栗林一夫さん作の粉引汲出茶碗とのツーショット。ほっこりとした雰囲気がよく合うかと思って並べてみただけですが。
今となっては大変な人気ぶりの市川さんですが、久しぶりにお会いしても、5年前に信楽の彼の初個展で初めて出会った時と変わらない、謙虚で人懐っこい作家の姿を確認し、ホッとして店に戻ってきた次第です。
森岡先生ご夫妻の土味溢れる素晴らしい作品(先生の南蛮のぐい呑と奥様の粉引徳利、欲しかったなぁ。。。)と市川さんをはじめ、5人の若手作家の力作がずらりと並んだ展覧会は今月26日まで。室生の『ギャラリー夢雲』にて。道が空いていれば、ここから3、40分で行ける距離にあります。焼〆好きの方には必見です。
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器屋として、また、毎日の味噌汁にお椀が欠かせない者のひとりとしても、器好きの方々の中にも漆器にあまり関心をお持ちでない方が多いことが不思議でなりません。
先日友人二人が来てくれた折に、次回 『福田敏雄 漆器展』の情報が掲載されている『大人組』という雑誌を見せたときのこと。
そこに載っている「毎日使って、ガラガラ洗う」という記述を見つけて、彼女たちは「えーっ、漆器って普通にスポンジに洗剤つけて洗ってもいいの?」って。
もちろん大丈夫。私は毎日スポンジに洗剤つけて、洗ってますとも。やきものとも一緒に洗っているので細かな傷もたくさん付いていますが、2年間そういう風に使ったお椀の表面はかなり艶が出てきていい感じに育ってきています。そのお椀を彼女たちに見せてやると、艶やかな漆の表情にまたまたびっくり。一人の子などは「衝撃を受けた」とまで言うので私もびっくりです。
そこまで漆は特別視されているのかと…。
漆器はそんなに特殊なものではありません。“普通”のホンモノの漆のお椀というものは大体そのようなものです。レンジに入れたり、食洗器で洗ったりは出来ませんが、スポンジに洗剤をつけて洗うぐらいは何てことありません。陶器の高台や縁には当てないようにしようというぐらいの意識で十分です。
ホンモノの漆器を使ったことがないという方には、まずは1個のお椀から、漆器を使う喜びを感じて欲しいと思っています。陶器に比べると確かに高価ではありますが、簡単に割れたり欠けたりしないので、長い目で見ると決して高くありません。毎日使うものだからこそ、使えば使うほど艶が増し美しくなっていく“普通”の漆器を選んでいただきたいものです。
●福田敏雄/ラッパ椀(朱・3.8寸) \10,000 ※2年使用の店主私物
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