“普通”の漆器
器屋として、また、毎日の味噌汁にお椀が欠かせない者のひとりとしても、器好きの方々の中にも漆器にあまり関心をお持ちでない方が多いことが不思議でなりません。
先日友人二人が来てくれた折に、次回 『福田敏雄 漆器展』の情報が掲載されている『大人組』という雑誌を見せたときのこと。
そこに載っている「毎日使って、ガラガラ洗う」という記述を見つけて、彼女たちは「えーっ、漆器って普通にスポンジに洗剤つけて洗ってもいいの?」って。
もちろん大丈夫。私は毎日スポンジに洗剤つけて、洗ってますとも。やきものとも一緒に洗っているので細かな傷もたくさん付いていますが、2年間そういう風に使ったお椀の表面はかなり艶が出てきていい感じに育ってきています。そのお椀を彼女たちに見せてやると、艶やかな漆の表情にまたまたびっくり。一人の子などは「衝撃を受けた」とまで言うので私もびっくりです。
そこまで漆は特別視されているのかと…。
漆器はそんなに特殊なものではありません。“普通”のホンモノの漆のお椀というものは大体そのようなものです。レンジに入れたり、食洗器で洗ったりは出来ませんが、スポンジに洗剤をつけて洗うぐらいは何てことありません。陶器の高台や縁には当てないようにしようというぐらいの意識で十分です。
ホンモノの漆器を使ったことがないという方には、まずは1個のお椀から、漆器を使う喜びを感じて欲しいと思っています。陶器に比べると確かに高価ではありますが、簡単に割れたり欠けたりしないので、長い目で見ると決して高くありません。毎日使うものだからこそ、使えば使うほど艶が増し美しくなっていく“普通”の漆器を選んでいただきたいものです。
●福田敏雄/ラッパ椀(朱・3.8寸) \10,000 ※2年使用の店主私物
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント