« 2008年7月 | トップページ | 2008年9月 »

2008年8月28日 (木)

駆け足の常滑作家巡り 3

Tokoname_013t思い出しながらの記述になります。訪問からは一ヶ月以上が経ってしまいました。

水野さんの工房を後にし、途中、小洒落た古民家系の店でランチして、今回初訪問となる伊藤聡信さんのもとへと向かいました。

常滑特有の曲がりくねった細い路地を少し入ったところに、伊藤さんの工房件自宅がありました。ちょっと古い民家をご夫婦のセンスの良さで上手に手を加えながら暮らしておられる様子が、お邪魔した瞬間に窺い知れます。上の写真はお手製の玄関のたたきの部分。真ん中の石が角が生えたように少しだけ斜めに飛び出ているところが気に入り、写真を撮らせてもらいました。石畳フェチのツボがくすぐられました。分かりにくいかな。

Ito_014_3 最初はオブジェを作っていたという伊藤さんは、鶴見さんや小山乃文彦さんといった、この地で地道に器作りをする先輩たちと出会い、酒を酌み交わし語り合う中で自然と器作りに気持が向かっていったそうです。土ものなど色々試してみて今一番しっくりと来ているのが白磁にコンニャク印判を施した作風で、レトロな雰囲気を醸し出す伊藤さんの器は、余白を活かしつつ絶妙な間合いで控えめに施されたコンニャク印判の模様が、盛った料理にさりげなく花を添えてくれます。

釉薬としている天然の灰のその時々の変化や、不安定で一筋縄ではいかない窯の調子も、伊藤さんは面白がりながらうまく手名付け、気負いなく器作りを楽しんでおられます。昔の瀬戸の石皿にインスパイアされて取り組み始めたという灰釉の器も、中々の仕上がりを見せ、今後ますます目を話せない存在になりそうな予感のする伊藤さんでした。

Tokoname_032t帰り際、伊藤さんお奨めのスポットはないかと尋ねると、海岸から見える夕日が綺麗ですよと教えていただきました。歩いてすぐの海に家族でよく釣りに行かれるそうです。

この後2件回って常滑での作家訪問をすべて終えたころ、夕暮れ時を迎えました。

Tokoname_025t

> 器穂垂ホームページへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月22日 (金)

グラスに咲いた花

Ktex_002この形と大きさが、ドンピシャに僕の心を捉えました。
春に久保さんの工房にお邪魔した際、工房の入り口脇の棚に、捜し求めていた形のグラスが目に入りました。聞けば尾形さんに頼まれて試作してみたとのこと。それはまだいくつかの点で修正を必要とするものでしたが、リファインしていけばきっといいものになるはず。僕も便乗して制作をお願いしておきました。

それが二人展のときには、きっちりとモノになってやってきました。口の厚みも薄すぎず厚すぎずのちょうどいい塩梅で、飲みやすいことこの上なし。冷蔵庫から水出しした煎茶を取り出し、ちょっと注いでグイッと一息で飲むのにもピッタリなサイズ。あるいは茶托に載せて出せば上品な余所行きに早変り。梅酒にも良さそう。梅を1個入れれば、ゆらぎのあるガラスの表面から梅が涼やかに透けて見え、いかにも美味しそうな表情に…。画はないのでご想像ください。

Hotaru_006_2今日は鉢植えの花をちょっと拝借して入れてみました。
花も涼しげです。
秋の予感も近づいてきています。

久保亜希子/麦わらチビグラス \2,310

> 器穂垂ホームページへ

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月21日 (木)

器を育てる

Ogata_004久しぶりの更新になります。

いろいろ書きかけて止まってしまっている記事もありますが、それはさておき、お問い合わせの多い器の取り扱いについて、「器を育てる」というテーマで、粉引の器を中心に少しずつお話していきたいと思います。

写真は尾形アツシさんの粉引湯呑。
釉薬違いで2種類。新しい形に新しい釉薬を使った器です。
左が長石系の釉(くすり)をたっぷりかけたしっとりとした艶のあるタイプ。右がマットに仕上がる釉薬を薄くかけてサラッとした手触りとしたもの。少し雰囲気が違いますが、どちらも土味たっぷりでそれぞれにとても魅力的です。

今この二つの器を“育て”始めたところです。これらの成長記録とともに、また少しずつ記事を書いて行きたいと思います。

つづく。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月 4日 (月)

主観的なネーミング

Fran_008 器の名前というのは、その用途や形、釉薬の種類や装飾技法など、その特徴を客観的に捉えて名前が付けられることがほとんどです。
例えば久保さんの器の場合、丸小鉢とか、ビアグラス、ちょっと変ったネーミングでは麦わらチビグラスなんてのもありますが、これは麦わらをイメージさせるようなマチエールにチビという組み合わせがユーモラスですが、この範疇の名付け方と言えます。
今回出品された器の中でこの範疇に納まらない名前の器が一つだけあります。

「フラングラス」

穂垂のお客様の中で、この名前を見て「はっ」と気付く人は極々一部だと思います。それもそのはず、実はこれ、僕の妻の愛称がグラスの頭に冠せられているのです。妻の愛称がなぜ「フラン」なのかはここでは触れませんが(気になる方は店で直接お尋ね下さい)、久保さんが結婚のお祝いにと新しい形のワイングラスを作って下さり、それに妻の愛称を付けて下さったのです。
いただいた時に「フラングラスと名付けました」と久保さんが仰ったのを妻は冗談だと思って、もうすっかり忘れてしまっていたようで、「今日フラングラスが売れたよ」と言っても何のことやらチンプンカンプン。説明するとようやく思い出したようで、「そういえば何か言ってたねぇ、冗談だと思ってた~」と、こんな調子。
せっかく名付けて下さった久保さんには申し訳ない限りですが、こんなオトボケな妻ですがどうか笑って許してやって下さい。
みなさんもどこかのギャラリーでこの名前を目にした際には、「あ、この名前は!」と思い出して下さればちょっと愉快だな、と勝手に思っています。

Cocco_014 こちらは今朝、追加で到着したばかりの田谷さんの「こっこ」たち。
「こっこ」は前述のカナンくんが名付けた呼び名。かわいいので僕も「こっこ」と呼ぶことにしました。田谷さんも「こっこ」に改名してみませんか?
 
 

猛暑とともに始まった二人展も明日でお仕舞い。
今日も暑い一日になりそうですが、お越しの際はくれぐれもご無理のないようにお出掛け下さい。
おうちでゆっくりという方は出品作掲載ページをどうぞご覧下さい。

なお、久保作品は会期終了後間もなく引き上げる予定となっていますので、購入を検討されている方はどうぞお早めに。

「久保亜希子・田谷直子 二人展」

7月19日(土)~8月5日(火)

> 器穂垂ホームページへ

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2008年7月 | トップページ | 2008年9月 »