« 作り手紹介 ~坪井俊憲さん~ | トップページ | 作り手紹介 ~八田亨さん~ »

2014年8月16日 (土)

作り手紹介 ~高田谷将宏さん~

Dsc_0062_397
 
「僕を弟子にしてください」

正確に何と言ったかは記憶にありませんが、村木雄児さんの穂垂での初個展の在店日に、高田谷将宏(たかたや・まさひろ)さんが、そんなテレビでしか聞いたことないようなセリフを口にしていたのは3年半ほど前のことになります。
 
高田谷さんは高知県出身。大阪の大学を卒業後、勤めに出るも、軽い気持ちで参加してみた陶芸教室でその面白さにはまり、その後本格的に陶芸の道を志ます。
 
大学時代はポニーテールに下駄というスタイルで通っていた(とかいなかった?とか)という高田谷さんは、クラスに1人はいなくても、学年に1人や2人いるような、「ちょっと変わった目立つやつ」だったようですが、本人は別に目立ちたくてやってるのではなく、ただ自分の気持ちに素直にやりたいようにやっているだけで目立ってしまうという、自分にも人にもとても素直でオープンマインドな好青年です。
 
いるいわゆる作家ものの器も何も知らない頃に、小野哲平さんに出会って、器作りをやってみろよと、言ってもらえりするのも彼の才能の一つと言えるかもしれません。
上からは可愛がられ、下からは慕われ、誰からも愛されるキャラを持っているのが高田谷さんです(本人はそんなことないですよと言いそうですが)。
 

高田谷さんはその後、村木さんと同じ瀬戸の窯業訓練校で器作りの基礎を学び、憧れの村木さんのもとで勉強させてほしいと、直談判にやってこられたという訳です。
 
「オレは弟子は取らないけど、来たかったらいつでも遊びに来たらいいよ」と、突然の弟子入り志願を優しく断る村木さんでしたが、未来への希望と、なけなしの金をはたいて買ったぐい呑2つを手に、高田谷青年はその日は店を後にしました。
 
高田谷さんにはその後ほどなくしてチャンスの時が訪れます。
念願の薪窯を焚く準備に取り掛かろうとしていた村木さんにとって、若い男手が必要となり、早速高田谷さんが住み込みで手伝いに行くことになったのです。
 
「こないだ穂垂さんとこに来た高田谷がね、よくやってくれて本当に助かってるんだよ。おれ、息子は持ったことないからさあ、なんかだんだんかわいく思えてきちゃってねえ」なんて、電話の向こうで嬉しそうに話される村木さんの声を聞いて、あの時の彼がそんなによくやってるなんてと、私までなんだかちょっと嬉しい気持ちになったのでした。
 
前回ご紹介した坪井さんもその後すぐ窯焚きの手伝いに参加され、高田谷さん同様、大事な戦力となってその後の窯焚きに二人して勉強を重ねることになりました。
   
そして昨夏には、高田谷さんが船頭となる形で、坪井さんや村木さんと親交のある作り手の方々がメインの窯焚きを村木さんの窯を借りて焚くまでに発展していきました。
 
昨年6月に村木さんの窯焚きにお邪魔した際に、高田谷さんの作品は少し見せていただく機会を得たのですが、バランスが良くてどこか愛嬌のある形に好感を抱きましたが、この春に初めて本人の工房を訪ねた際に、改めて最近作を見せていただいたときは、本当に驚きました。昨年見た時に少し感じられた線の細さはどこかに消え失せ、素朴な中にも力強さの感じられる器へと変貌を遂げていたのです。
   

 
高田谷さんを含む3人の仕事は下記ページよりどうぞじっくりご覧ください。
 


Dsc_0049_396
高田谷さんが陶芸教室で初めて作った湯呑。
本人も「今よりいいかも」と冗談交じりに仰いますが、本当に見事な出来栄え。

  
  

「三人展」について、詳しくはこちらをクリック

うつわ穂垂ホームページ

 

|

« 作り手紹介 ~坪井俊憲さん~ | トップページ | 作り手紹介 ~八田亨さん~ »