光射す方へ
地元名古屋の大学(専攻は土木工学)を卒業後、艸田さんは東京でシンクタンクに入社して都市計画や「まちづくり」といった、プランニングの仕事に携わるようになります。
まちづくりで人の役に立ちたいという希望を抱いて就いた仕事でしたが、そんな願いは会社という組織の中では置き去りにされ、ひたすら効率よく仕事をこなすことを求められる希望とはかけ離れた環境の職場でした。
まちに暮らす普通の人々のためにより良き未来を考える役目の人間が、会社と自宅の行き来だけでまちに暮らしている実感もなく、単に数字とにらめっこして、過去に作り上げた一つの型に機械的に当てはめていくだけの仕事に矛盾を感じ、退職を決意するに至ったのは入社5年目のことでした。
東京から一旦距離を置いて(戻ろうと思ってもすぐには戻れない距離で)、何も知らない土地で0から人生を見つめなおそうと艸田さんが選んだ地は富山県の八尾というまち。そしてそこでほどなくしてサラリーマン時代に趣味で少しやっていたガラス作りに再会することになります。
つづく
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