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2018年5月24日 (木)

三笘修陶展 オープンデイを終えて

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三笘修陶展のオープンデイが終わり、現在web展の準備をしているところですが、ここでオープンデイの様子を少し振り返ってみたいと思います。

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最近は台湾・中国をはじめとする海外での展覧会を行うなど、規模の大きな個展が増えてきた三笘さんにとって、穂垂での展示は、文字通りアットホームな小さな空間での展示ということで、いつもとは少し違ったお気持ちで臨まれたのではないかと思います。
  
展示スペースは一般的なリビングダイニングということもあり、三笘さんが近年作品作りを通して親しんでおられる中国茶をお客様に振る舞いましょうかと打ち合わせ時にご提案をいただきました。

そしてオープンデイもたったの二日間だけなので、二日間とも居てくださることになり、前日の設営の段階から携わっていただくことになりました。
 

いつもは私一人で設営をすることがほとんどですが、今回三笘さんがお手伝い下さったことで、コンパクトな空間に適材適所の家具配置と作品のディスプレイを施していただき、私一人の時以上に作品が部屋に馴染みながら、さりげなく魅せる設えになったように思います。

(実のところ、片付けでいっぱいいっぱいの私を横目に、そのほとんどを三笘さんがスラスラと配置してくださったのでした)
 

人気店での展示であれば開店前からお客様が並ぶという光景が当たり前になっているような三笘さんの個展ですが、こちらではそのようなことはありませんし、基本的に事前に来展をお知らせいただいていて、来客数もある程度予想できますので、三笘さんもゆったりととしたお気持ちでお客様をお迎え下さいました。
 

オープンから程よい加減で三笘ファンの方々が来られ、三笘さんはお一人お一人に丁寧にお声がけされ、お茶を振る舞いながらお客様とのお話を楽しんでおられました。

お客様もお品選びに焦る必要もなく、好きな作家さんにお茶を淹れてもらいながら器選びできる贅沢な時間をゆっくり楽しんでいただけたのではないかなと思います。
 

初日には穂垂でお馴染みの急須作りの名人の水野博司さんもお見えになりました。
居合わせたお客様の中には水野さんの急須を愛用されている方も数人おられ、その方々ににとっては大きなサプライズになったことと思います。

三笘さんにとっても水野さんとは初対面で、最初緊張されたようですが、水野さんの穏やかな人柄に触れ緊張もすぐにほぐれ、お茶の話や急須の話などをじっくりとされながら、最後には水野さんに急須の制作依頼までなさっていました。
 
夜は、三笘さんともきっと親交がおありだろうと、ガラス作家の津田清和さんもお招きして夕食をともにし、その後展示も見ていただきながら、楽しい時間を過ごしました。

お忙しい中、駆けつけてくださった津田さん、ありがとうございました。

 
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二日目はあいにくの雨で、しかもかなり本気の雨が展示会の間中降っていましたが、足元の大変悪い中、多くの方にお越しいただきました。
 
この日は展示に協力いただいた木工の小倉広太郎さんが来てくださり、三笘さんとは作品を通してすでに交流していたもののここで初顔合わせとなり、お互いの仕事の話を中心にいろいろお話されていたようです。

小倉さんにはご自身の個展の間隙を縫って快くご制作いただきました。
 
そして、もう一人今回の展示にご協力いただきました銅版画の木村茂さんは、ご高齢ということもあってあいにく展示会にお越しいただくことは叶いませんでしたが、ところどころに配置させていただいた小さな自然物を描いた作品が、三笘さんの作品に違和感なく寄り添ってくれて、展示に奥行きを与えてくださったと思います。

この場をお借りしてお二人のご協力に感謝申し上げます。
 

そして、遠方から初めてお越しくださったお客様、雨の中自転車で来てくださったり、毎回のように欠かさず来てくださるご常連さんや友人、お越しいただきましたすべての方々に心より感謝申し上げます。
 
 
 

三笘さんは閉店間際まで居てくださり、合計3日間三笘さんとともに過ごさせていただきました。
最近はご多忙のため常設での取り扱いができなくなってしまいましたが、三笘さんとはもう長いお付き合いになりますので彼がどのような人かは分かっているつもりですが、この3日間を通じて、細やかな気遣いのできる素敵な方だと再確認いたしました。

そしてやはり三笘さんの作る器にも、そのディテールの端々に、丁寧でさりげない気遣いの心が反映されているなと感じます。
 

今週末にはそんな三笘さんの器をweb展として掲載していきたいと思いますので、どうぞ楽しみにお待ちください。
 

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◎三笘 修 陶展 「小さな器に写し取るもの」

会期 2018年5月12日(土)~

○オープンデイ:5月12日(土)、13日(日) 両日作家在展

●web展:5月下旬~ 
 

詳細はこちら をクリックしてご確認ください。

 
> うつわ穂垂HPへ

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2018年5月 4日 (金)

三笘修陶展開催を前に

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三笘さんの新しい工房の一角には、さほど大きくない窓が一つだけある土間の小さな展示室、というよりかは接客のためのちょっとした茶室のような空間が設けられていました。
それは、木と土と漆喰に囲まれた、狭く簡素な空間ですが、その狭さゆえに自然と心が鎮まっていく、そんな空間でした。
  
押しも押されもしない人気作家となって多忙を極める三笘さんですが、忙しい中でも精神的な豊かさを失いたくないという想いが、その小さな空間に込められているように感じました。
  
そこで三笘さんが丁寧に淹れてくださる台湾のお茶を一煎一煎いただく毎に、少しずつお互いの心を解きほぐしながら、私たちは静かな対話を積み重ねて、今回の展示会に向かう気持ちを一つにする作業を行いました。
もちろんそれはその場でなくてもできることではありますが、その小さな空間とお茶を淹れてくださる行為によって、よりかけがえのない特別な時間になったように思います。
  
私たちが共有した今展のイメージは、「自然を集め、解き放つ」というものです。
三笘さんは自分の身近にある、木や石や土などの自然のものを自らの手で集めて釉薬の原料として使っておられます。
だから出来上がった器には自然のエッセンスが凝縮されて滋味となって表れています。
使い手は今手にしている小さな器に自然を見い出し、そして翻ってその小さな自然から、土や木や石やさらには光や風や匂いなど、その集積としての様々な自然に思いを馳せることができるのではないでしょうか。
 
ただしそれは天然素材をダイレクトに押し出した自然ではなく、あくまでも三笘さんというフィルターを通して浄化された自然の上澄みのような清らかなものであると申し上げたいと思います。
 
注がれた茶の芳しい香りとともに少しずつ解き放たれる三笘さんが掬い取った自然の芳香を味わっていただきたいと思っています。
運が良ければ作り手である三笘さん自身がお茶を淹れてくださるかもしれません。
 
皆様のお越しを三笘さんとともにお待ちしております。 

 
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◎三笘 修 陶展 「小さな器に写し取るもの」

会期 2018年5月12日(土)~

○オープンデイ:5月12日(土)、13日(日) 両日作家在展

●web展:5月下旬~ 
 

詳細はこちら をクリックしてご確認ください。

 
> うつわ穂垂HPへ

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