2008年7月12日 (土)

駆け足の常滑作家巡り 1

常滑はやきものをやるにはいい環境らしく(やきものの産地なので当たり前と言えば当たり前なのですが)、多くの作り手がこの地を制作の拠点に据えて作家活動を展開しています。最近はとりわけ常滑以外の地から入ってくる若い作り手も多く(逆に家業としての“窯”を継ぐ人は減っているように思われます)、常滑は彼らの受け入れに関して比較的寛容なようです。

穂垂でお付き合いさせていただいている常滑の作り手8人の中では、急須職人の水野博司さんと一番お若い鯉江明さん以外はすべて関西や関東から常滑にやってきた方々です。あ、角掛さんは東北のご出身でしたね。

1年ぶりの常滑は谷口晃啓さんの訪問からスタートしました。
ここ数年力を入れて取り組んでこられた急須やポットが、形がよく、使い勝手も良さそうで、新しく調合された釉薬も雰囲気があって、磁器でよい急須・ポットを探されていた方に喜んでもらえそうです。
また、最近新しく加わった擂鉢も、ちょっと胡麻を擂ってそのまま食卓へ出すには打ってつけのかわいいアイテムに仕上がっています。
いずれもご紹介できるのはまだもう少し先になりそうですが、楽しみにしていてください。

Tokoname_005t 次に谷口さんの工房のすぐそばの鶴見さんの工房へも立ち寄ることに。
前夜、遅くまで作業をされていたようで、遅い朝食?を摂られているところを襲撃してしまいました(鶴見さん、ゴメンナサイ)。
雑然とした工房の中に製作途中の大きな壷(全長7、80cmぐらいか)が柱を挟んで2体。一つは成形完了間近、もう一つは四分の三ぐらいの出来といったところで、主の手で仕上げてもらうのを静かに待っているといった様子。
大きくて存在感たっぷりなんだけど、どことなくユーモラスで可愛らしさのあるところが、鶴見さんだなぁ、と感じます。
鶴見さんは大きなものはいつも二つを同時進行で制作されるとのこと。一つ目を作り始めて全体の四分の一ぐらいのところまで作り進めたら、もう一つを作り始めるという具合に交互に作っていくそうです。大きなものはいっぺんには成形できないので、四分の一作っては、ある程度乾かして土台をしっかりとさせ、次の四分の一を積み上げていくというように作らないといけないので、その乾かしている間にもう一つを作っていくと、ちょうど時間の無駄なく作れてよいのだそうです。なるほど理に適っていますね。
でも鶴見さんは二つ同時に作るということを、そういう現実的な理由からだけではなく、特別の理由があるわけではないのだけれど、制作する上で精神的によいというか落ち着くというか、なにかそんなような思いで、このオブジェ作り(壷と呼ぶよりオブジェと言った方がしっくりくるように思います)を楽しんでおられるように感じました。
上手く焼けるよう祈りたいです。いつかどこかの展覧会場でこのオブジェに出会われた方はじっくりとご覧になってください。


今日はこの辺で。常滑作家巡りはまだまだつづきます。

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2007年4月29日 (日)

時には花を

Koie015 器: 鯉江 明/花入れ \2,000

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2007年4月17日 (火)

日と月

Koiehi_1 Koietuki_1 高台付近に対を成すように押された「日」と「月」の印。それが鯉江明さんのサインです。
「日+月=明」というわけです。
 

気軽に使える雰囲気を持った焼〆の器を探していて出合ったのが鯉江明さんの器でした。素朴だが野暮ではないって実は中々得難いことなのですが、はじめて見た明さんの小鉢は程よく焼け歪みがあって、そこにあっさりと自然釉が振り掛かっていて実に心地良さげな雰囲気が感じられました。そこへ持ってきて上述のサインを発見し、思わず笑みがこぼれました。

初めて明さんの工房を訪問する際、近くのやきもの会館で待ち合わせをしてから、車で先導していただいて工房に向かったのですが、こちらは普通車、あちらは軽トラック、狭くて曲がりくねった道の多い常滑なので、ズンズン進まれると着いていけなくなると思い、出発前に「ゆっくり走ってくださいね」と明さんに一声かけておきました。すると明さんは、本当にゆっくり、田舎道をのんびり走るおじいさんの軽トラックのごとく、ゆっくりゆっくり、走り出しました。さすがに1キロほど走った頃にはそこそこのスピードにはなっていましたが、それでもあくまでもゆっくりと走ってくださって、『明さんって本当に素直な人なんだなぁ』と、その真面目さ加減にとても好感を抱きました。

鯉江明さんのお父上は言わずと知れた現代陶芸の重鎮、鯉江良二さんで、昔お父上が築かれ、長い間使われずに放置されていた、そして今ではかなり風化してしまった登り窯を使って、明さんは焼〆の器を焼いています。窯に隣接された小屋も、見ればかなり老朽化していましたが、その昔若い陶芸家たちがそこで寝泊りして良二さんと一緒に窯を焚いたりしていたそうです。そしてその中には村木雄児さんもいらっしゃったそうです。

明さんの焼き物に使われる土は窯のすぐ横っちょにある土。それを掘ってきて廃材を燃料に焼き締めます。この最もシンプルで原初的な器の生産現場から生まれる明さんの器もとてもシンプルで素直なもの。灰被りだの窯変だのと、とかくやきもの通が薀蓄を垂れたがる薪窯焼成の器ですが、明さんの興味はそういうところにはなさそうです。焼け具合で値段が全然違ったりするのが薪焼きの器ではよくあることですが、明さんの値付けはすべて同じで、しかもとても買いやすい値段。自然釉がいい調子にのっていようが、のっていまいが価格に差をつけません。「自分の友達でも気軽に買える値段で」「それに材料費も全部タダですし」と本当はタダより高いものはないのですが、とても実直な姿勢でやきものに取り組む若者らしいその心意気を歓迎したいと思います。

Koie010_1 初納品は湯呑と碗。
素直な器は幅広い用途に使えます。
湯呑はビアカップにしたり、花入れとしてもいい。
4寸ほどのやや深さのある碗は、煮物、和え物はもちろん、3時のおやつを少しだけ入れたり、鍋用の取り鉢にしたり、今の季節だとたけのこご飯などの混ぜご飯系にもどうぞ。

●鯉江明/碗(4寸) \1,400、湯呑 \1,200

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2007年4月10日 (火)

本日の一服

Acupoftea003 器 : 村木雄児そば猪口
   鯉江明/小鉢(4寸) \1,400

お茶 : コーヒー(自家焙煎あさくま/エルドラド・中煎り)



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